森田司さんの送迎システムの提案で、いちばん引っかかったのはAIの性能そのものより、「誰の、どんな負担が軽くなるのか」がなかなか共有されなかったことです。
事故を減らしたいという目標には賛成です。だからこそ、その価値が相手へ届かない展開は、かなりもどかしいものがあります。
今回は2026年10月26日公開の公式動画をもとに、なぜ顧客側のメリットが繰り返し問われたのかを考えます。
動画出典:令和の虎CHANNELの公式動画(2026年10月26日公開)。本記事は番組と提携していない、非公式の独立した考察です。
安全を良くする話なのに、なぜすれ違うのでしょうか
動画の3分前後では、森田さんが送迎に関わる運行管理システムを説明しています。
一方、18分台から19分台にかけては、導入する顧客にとって何が魅力なのかという問いが続きます。
このすれ違いが、この回の重要な論点だと感じます。
作る側が「ここまで管理できます」と伝えたとき、聞く側が知りたいのは「その管理が増えると、うちの毎日はどう変わりますか」ということなのですよね。
ここをつなぐ説明がないと、機能を足すほど、相手には作業が増えるようにも聞こえてしまいます。
たとえば施設の責任者の立場なら、確認画面が増えるより、出発前の確認漏れをどう減らすか、異常に誰が気づいて対応するかを先に知りたいはずです。
これは具体的な施設を取材した結果ではなく、提案を受ける側に立って考えた例です。
管理画面があることは手段で、現場で何が改善するかが目的です。
ここ、技術の話が好きな人ほど見失いやすいところかもしれません。
新しい仕組みを説明するときに、自分が工夫した部分を最初に話したくなる気持ちは分かります。
でも相手は、その開発の道のりを一緒に歩いてきたわけではありません。
まず相手の困りごとへ橋をかけてから、仕組みの説明へ進む順番が欲しかった、というのが率直な感想です。
「一緒に管理」は、安心にも負担にも聞こえます
32分台から35分台のやり取りでは、機能の説明と、顧客にとっての利点との距離が、さらに見えやすくなります。
私がここで考えたいのは、情報を共有すれば、そのまま価値になるのかという点です。
同じ画面を見られることで安心する人もいれば、今まで任せていた作業を自分も見る必要があるのか、と感じる人もいるでしょう。
どちらも不自然な受け止め方ではありません。
だから提案するときは、「画面を共有できます」から、もう一歩進めたいところです。
誰が最初に通知を確認し、どんなときだけ顧客へ連絡し、普段の確認作業は誰が担うのか。
その運用まで示せると、相手は自分の職場へ置き換えて考えやすくなります。
仮に私が提案資料を作るなら、見栄えのいい機能一覧より、出発前に問題が見つかった1場面を用意します。
検知、確認、連絡、対応、記録までを、担当者の動きとして並べるのです。
これは今回の製品がその動作をするという説明ではなく、価値を確かめるために見せてほしい例です。
「何でも把握できる」と言われるより、「普段はこの作業が減り、問題があるときはここを確認します」と言われるほうが、導入後の姿を想像できます。
安全を任せる場面だからこそ、便利そうという印象だけで話を終わらせず、責任の分かれ目まで聞きたいのですよね。
実績がないことと、何も説明できないことは違います
新しい仕組みに実績がまだないなら、効果を断定しない姿勢は必要です。
事故が必ずなくなる、導入すれば確実に契約が増える、と約束されるほうが心配になります。
ただ、それでも説明できることは残っています。
現在はどこで確認が止まりやすいのか。導入後はその場面をどう変えたいのか。確かめるには、何を記録すればよいのか。
この3つが見えれば、まだ実績がなくても、検証の話はできます。
たとえば、書類を探す時間や確認のやり直しが減るかを測るなら、導入前後で同じ作業を比べる必要があります。
そのうえで、確認時間が短くなったことと、事故が減ったことは、別の結果として扱うべきです。
前者を測っただけで後者まで証明したことにはできません。
今回の動画から実際の事故削減効果を確認できたわけではないので、ここで製品の安全性に合格点をつけることも、不合格と断定することもできません。
私が欲しかったのは派手な効果の数字ではなく、「まだ分からないから、この順番で確かめる」という説明です。
未知の部分を認めながら、検証する範囲を具体的にする。これなら、誠実さと提案の強さを両立できそうです。
一方で、長年の仕事の経験まで、この1回の説明で否定するのは違うと思います。
ASSホールディングスの会社概要には、森田司さんが代表者であり、車両運行管理業務などを行う会社であることが掲載されています。
既存の仕事の蓄積と、新しい提案が相手に伝わったかどうかは、分けて評価したいところです。
私なら「安全です」の次に、変わる場面を1つ見せます
ここからは、今回の提案を材料にした私自身の整理です。
もし安全を高めるサービスを説明するなら、最初の1枚には、何がすごいかを全部詰めません。
「いま、誰が、どんなことで困っているか」を1場面に絞ります。
その次に、従来の方法、新しい方法、まだ確かめていない部分を並べます。
| 説明したいこと | 相手へ示したい内容 |
|---|---|
| 解決する問題 | どの担当者の、どの場面の困りごとか |
| 仕組みの役割 | 人の確認をどこで助けるのか |
| 導入後の運用 | 誰が確認し、誰が対応するのか |
| 検証する項目 | どの記録で改善を判断するのか |
この表は番組内の資料の転載ではなく、私が提案を受ける立場で整理したものです。
そして、導入を見送る理由も聞きます。
価格が高いのか、今の方法で困っていないのか、担当者が増やせないのかで、必要な改善は違います。
「便利なはずなのに分かってもらえない」で止まってしまうと、相手が何を重く見ているかを拾えません。
逆に、今の方法のどこに満足しているかを聞くと、変える必要がない部分も見えてきます。
全部を置き換える提案より、困っている場面だけを助ける提案のほうが、検討しやすい場合もあるはずです。
AIやDXという言葉は、その後に置けば十分でしょう。
先に欲しくなる理由があり、その理由を支える仕組みとして技術が登場する。私はその順番の説明を聞きたかったです。
厳しい結果でも、提案の目的まで捨てなくていいと思います
この回の最終結果は、出資が集まらないNOTHINGでした。
ただ、私には「送迎の安全を良くする必要がない」という結論の回には読めません。
むしろ、良くしたいという思いを、顧客が比較し、検討できる言葉へ変える難しさが残る回です。
強いやり取りに目を奪われますが、怒られた人と怒った人を決めて終わるのは、少しもったいない気がします。
説明が届かなかったことと、事業の目的に意味がないことは、同じではありません。
それでも、投資をお願いする場なら、何を期待できて何が未確認なのかを、自分の言葉で示す準備は必要です。
「まだ分からない」を最後の答えにするのではなく、そこから何を確かめるのかまで出してほしかったです。
そして、番組は撮影・編集された一つの場面です。
この動画だけから、森田さんの普段の人柄や、現在の会社の仕事ぶりまで決めつけるつもりはありません。
ほかの事業提案と見比べたい方は、当サイトの中村哲也さんの反響型ポスティングを扱った記事や、ウォレン・ジェフリーさんの一枚板テーブル回の記事もあります。
それぞれ別の提案として、自分なら何を聞くかを考える材料にしてください。
自分の商品や仕事を紹介する機会がある方は、「この機能があります」と書いた1文を、「あなたのこの負担を、こう減らしたいです」に書き換えてみてはいかがでしょうか。
言い換えられない部分こそ、次に相手へ聞くべきことなのだと思います。
参照資料
令和の虎CHANNEL「「今はカメラがあるから聞いてるけど…」自家用自動車での送迎の事故ゼロを目指したい【森田 司】[927人目]令和の虎」(2026年10月26日公開)
https://www.youtube.com/watch?v=Y0qJgbXr1fo
内容の確認は公式動画の自動生成字幕と公開情報をもとにしています。全編を映像で視聴した体験談ではありません。自動字幕の誤認識が疑われる固有名詞・金額・発言の逐語引用は避け、論点を確認できる範囲で考察しました。該当する主な場面は3分前後、18~19分台、32~35分台、42分台以降です。
株式会社ASSホールディングス「会社概要」(公開日未確認、2026年10月29日確認)
https://ass21.co.jp/company.php









